顎矯正手術 (両顎手術/OGS) とは
顎矯正手術(OGS:Orthognathic surgery)OGS(オージーエス)、顎矯正手術、両顎手術、2-jaw(トゥジョー)と呼ばれる手術です。
上顎、下顎を同時に手術するため、かみ合わせが関係してきます。矯正歯科と連携して行う手術で、原則術後矯正が(場合によっては術前も)必要となります。
手術方法
傷跡
このような方におすすめ
顎矯正手術の適応症
①下顎前突症
(いわゆるシャクレ顔)
②ガミースマイル
(笑ったときに歯茎がたくさん出る)
③上顎前突症
(いわゆる口ゴボ、口元が突出しており不機嫌な印象に見える)
④下顎・オトガイ後退症
(いわゆるアゴなし)
⑤顔面非対称
(顔が歪んでいる、顔の真ん中がずれている)
もともとはこのような正常な骨格から外れている方をメインに顎矯正手術を行ってきましたが、審美性をメインとして、次の目的でも行われることが増えてきています。
①小顔化(長い顔を小さくしたい)
②E-lineを整えたい
正常に近い骨格の方がどこまで顎矯正手術の適応になり、どの程度の変化が得られるかは実際に診察させていただく必要があります。
術後経過とアフターフォロー
術後2〜3日
腫れのピークで、鼻もつまり息がしづらいため一番つらい時期です。
術後1週間
体は元気になってきます。
腫れも少し引きますがまだパンパンです。
鼻は通るようになってきます。
両頬の抜糸を行います。(SSRO部)
術後1〜2週間
この時期に腫れが一気に引いてきます。
マスクをつければ大抵の方はお仕事が可能。(仕事の内容によります)
術後3週間
食事の形態が少しずつ上がります。
軽く噛めば大丈夫なもの(柔らかい麺やおかゆなど)を食べれます。
顎間固(ゴムによる歯の固定)を行う場合はこの頃くらいまで行います。
術後1ヶ月
おおむね腫れは引きますが、まだ頬はぷくっとしており、鼻まわりがむくんでいます。
口をあける訓練を始めます。
笑顔はまだぎこちないです。
矯正歯科を術後1ヵ月前後を目安に受診します。
顎間固定用のスクリューを抜きます。
術後2ヶ月
笑顔が自然になってきます。
普通の方がみて腫れてるとは思わないくらいになります。
硬い食べ物を避ける以外は通常の食事を食べてもよいので、食べるとき口をあけることが訓練になります。
口が2〜3横指開けられることが目標です。
術後3〜4か月
腫れが完全に引きます。
鼻まわりはこの頃まで変化します。
硬い物も食べられます。
副作用/リスク
- 不正咬合、開咬
術後咬合が不安定であったり、食いしばりなどにより咬合のずれが生じたり、咬合が開いてくることがあります。ゴムによる顎間固定(上の歯と下の歯を固定する)やひどい場合には再手術などを行う場合があります。
- 感染と腐骨化
主に下顎を固定しているプレート、スクリューが感染を起こす可能性があります。感染を起こすと、腫れ、疼痛の増悪、排膿などを起こします。抗生剤の投与と、創部の洗浄、場合によりプレートの抜去を行うことで治療できます。最終的な見た目には影響を及ぼしません。
- 後戻り移動させた骨が時間とともに、多少後戻りする場合があります。手術プランはそれを予期して計画しておりますが、特に舌癖(舌で歯を押す癖)がある方は予定以上に後戻り等を起こす場合があります。舌癖がある方は術後MFT(口腔機能訓練)を歯科で受けていただくことをオススメ致します。
- 下歯槽神経の知覚麻痺
SSROの際、あるいはV-line形成の際、下歯槽神経を触ったり引っ張ったりすることで一時的に下唇からオトガイのしびれ、感覚鈍麻を起こすことがあります。回復には通3〜6ヶ月程度かかります。まれに、麻痺が長期的に残る可能性がありますが、通常は2年ほど経つと慣れて気にならなくなることが多いです。
※感覚の麻痺のみで運動の麻痺は起きません。
- 鼻の形態の変化
小鼻が広がったり、鼻先が上を向いたりする変化を起こす可能性があります。小鼻を引き寄せる縫合(alar cinch suture)を術中に行うことで最大限の予防を図ります。
- 出血、血腫
治療時間
4時間半
手術当日は、術後1泊クリニック内で過ごしていただきます。
注意事項
術前
- 治療中の病気や治癒しているが長期間治療していたり、経過観察中の病気やけががある場合はかかりつけ医に確認していただく場合があります。
- 経口避妊薬を内服中の方は手術前1ヶ月前より内服を中止してください。
内服中止による妊娠の可能性にもご注意ください。
- タバコを吸われている方は、手術が決まり次第禁煙を行ってください。
骨癒合が遅れたり、プレート感染のリスクが増大します。(特に両顎手術)
- 親知らずの抜歯を行った場合は手術まで3〜6ヶ月程度期間をあける必要があります。
- 歯周病、虫歯は術後の感染リスクを増大させます。
早期に歯科を受診し、手術の検査前には治療を終了してください。
歯形をとった後に虫歯治療を行った場合、手術中に使用するスプリントの歯形と合わないため手術が延期になるおそれがあります。ご注意ください。
- 食いしばり癖が強い方は術後の咬合安定のため、開咬予防のため手術前1週間前くらいまでにエラボトックスを打つことをお勧めします。
- 手術前は十分に体調管理をし、風邪などをにお気をつけください。
体調によっては執刀医師と麻科医師の判断で手術が中止になることもございます。
術後
- 食事の硬さの指示は必ず守ってください。
柔らかい物でも噛んだりすることで咬合がずれ、ひどい場合には再手術になることもあります。
- 術後の歯磨きは食後通常通り行って大丈夫です。
歯茎に顎間固定用のスクリューが4〜8本挿入されています。
口の中に傷があったり、最初は口が開けづらいためヘッドの小さい歯ブラシで優しく磨くようにしてください。
- 食後のうがいや口のゆすぎは行い、口腔内を清潔に保ちましょう。
ただし、過度のゆすぎや頻回のゆすぎは傷が開く原因になりますのでやさしくゆすぐようにしてください。
- 術後寝ている時間が長いと腫れが長引く原因になります。
体が元気になってきたら日中はなるべき起きて歩いたりするようにしましょう。
また、夜間もなるべく頭を高くして休むと腫れが抑えられます。
- 運動は軽いものなら術後1〜2週程度たてば行っていただいて構いません。
様子を見ながら徐々に行いましょう。
料金
※表示価格はすべて税込です