両顎手術は、骨格による咬合不全や顎変形、フェイスラインの改善を目的とした大がかりな手術です。自費診療で受ける場合は、保険診療と比べて治療内容の選択肢の自由度が高く、審美性やダウンタイムへの配慮など、より柔軟で高度な治療が可能です。患者様ご自身が主治医としっかり相談しながら、治療方針や計画を決定していく必要があります。
そこで今回は、経験豊富な形成外科専門医が術前矯正から術後ケアまで、治療が完了するまでの全プロセスを、時系列に沿って詳しくご紹介します。自費診療での両顎手術をご検討されている方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の監修ドクター:森山 柾純 医師(もりやま まさずみ)
日本形成外科学会認定専門医 / 日本美容外科学会(JSAPS)正会員 / 顔面骨手術を専門とし、多数の両顎手術を執刀。
両顎手術|治療の流れを解説
1. 自費両顎手術のカウンセリング・診察

患者様の希望や悩みをお伺いするカウンセリングから始まります。
- CTスキャン:骨格構造を高精度に可視化し、手術計画の基礎データを取得。神経の走行も確認し、安全性に配慮した治療計画に役立てます。
- 問診:治療に対するご希望やお悩みをヒアリングし、理想のゴールを明確化します。
シミュレーションを用いて治療終了後のイメージ共有も可能です。 - 骨格・咬合評価:CTを用いて、顔面全体の骨格バランスや噛み合わせの状態を評価します。
- 手術適応の判断:見た目の改善だけでなく、噛み合わせや呼吸など機能面への影響も含め、両顎手術が適しているかどうかを総合的に判断します。
- シミュレーション:必要に応じてシミュレーションを用い、術後のイメージを共有することも可能です。
- 提案:輪郭形成・フェイスリフト・鼻形成術など他の治療との比較・提案も行い、最適な選択肢をご提案します。
2. 治療方針の決定と費用の確認

術前検査の結果をもとに、個別に最適化された手術計画をご提案致します。
- 矯正治療の有無とスケジュール
- 骨切り方法の決定(LefortⅠ型・SSROなど)
- 治療期間・費用のご説明と契約締結
当院では矯正歯科医が常駐しており、形成外科との密な連携によりスムーズな治療進行が可能です。
3. 術前準備で安全性と仕上がりの精度を高める

手術の安全性と術後の安定性を高めるために、以下の術前準備を行います。
- 術前矯正:歯列を整えることで、正確な骨切りと術後の咬合安定を実現します。省略してしまうと、後戻りや咬合異常のリスクが高まります。
- 顔面計測・写真撮影:骨格や表情のバランスを数値で分析し、美容的な観点から改善ポイントを明確にします。
- 口腔内ケア:手術前に歯科衛生士が専門的なクリーニングと衛生チェックを実施し、感染リスクを最小限に抑えます。
- 全身麻酔に必要な検査: 採血などの身体的チェックを行い、麻酔管理の準備を整えます。
- 3D骨模型の作成: 骨格の構造を立体的に可視化し、3Dモデルを使って精密な手術プランを立てます。これにより骨切りの位置や角度を精密に計画し、仕上がりの精度を高めます。
- 自己血貯血:手術中の輸血に備えて、事前にご自身の血液を採取・保存します。
- スプリント作成:顎や顔面骨などの骨切り手術後、骨を正確な位置に固定・誘導するために使用するカスタムメイドの装置(スプリント)を術前に作成します。
4. 手術当日の流れと安全管理体制

手術当日の朝には、歯科衛生士が専門的なクリーニングと衛生チェックを実施し、感染リスクを最小限に抑えます。そして患者様ごとの3D骨模型を用いながら、ご希望やご不安を丁寧に確認し、その内容を最終的な手術プランに反映させます。これにより、医療チームと患者様の目標を共有した状態で手術に臨むことが可能です。
手術は全身麻酔下で4-6時間程度かけて行われます。術中・術後ともに鎮痛・鎮静管理を徹底し、可能な限り痛みや不快感の少ない状態で過ごしていただけるよう努めています。安心して手術に臨んでいただけるよう、術中から術後にかけてのサポート体制も整えています。
5. 術後の通院・評価・アフターケア

手術が無事に終了した後も、安定した結果を得るためには継続的なアフターケアが不可欠です。
術後の腫れケアとして当院ではKOライトというダウンタイム軽減のための機械も導入しております。特に黄色くなった痣に対しての効果が高く、治癒を早める効果が期待されますので、必要やご希望に応じてご案内しております。
術後1ヶ月時点でCT検査を行い、骨の癒合状況や移動後の位置が正確に安定しているかを確認します。
また、術後の噛み合わせをさらに整えるために、「術後矯正」が必要となる場合があります。この際には、矯正専門医の管理のもとで定期的な通院・調整を行っていただきます。
腫れや神経の違和感といった術後の変化については、おおよそ3~6ヶ月の経過で徐々に改善していきます。骨切り後に生じやすいたるみに関しても、当院では幅広いたるみ治療をご用意しております。担当医師が経過を確認しながら、お悩みに対してもっとも効果的なたるみ治療を特別な価格でご案内しておりますので、術後のアフター治療費用にお悩みの方もぜひお気軽にご相談くださいませ。
両顎手術ご検討中の方は、まずは無料カウンセリングへ
両顎手術は、美容だけでなく機能改善にも寄与する非常に有効な選択肢です。自費診療での治療は、自由度が高い分、正しい知識と信頼できる医療チームとの連携が不可欠となります。本コラムでは、初診から術後ケアまでの全体の流れをご紹介しました。どのステップも、安全性と仕上がりの精度を高めるために欠かせない大切なプロセスです。
当院では、形成外科医・矯正歯科医・麻酔科医をはじめ全てのスタッフが一体となり、患者様に最適な治療をご提供しています。ご不明点があれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。あなたの「理想の輪郭」と「安心の機能改善」のために、私達が全力でサポートいたします。

この記事の監修者

医師
森山 柾純
Masazumi Moriyama
【経歴】
2018年 金沢大学医薬保健学域医学類 卒業
2020年 浜松医科大学医学部附属病院 形成外科
2021年 静岡赤十字病院 形成外科
2021年 京都芸術大学芸術学部デザイン科 編入
2022年 静岡県立こども病院 形成外科
2024年 焼津市立総合病院 形成外科
2025年 京都芸術大学芸術学部デザイン科 卒業予定
2025年 東京警察病院 形成外科・美容外科 勤務